彼の常識・私の思い 

彼がくれるプレゼントはいつも的外れだ。
絶対趣味が合わない。
どうして選ぶ前に聞いてくれないのか。
だからプレゼントがらみのイベントが近づいてくると憂鬱になる。
身構えてしまう。
どうやって回避しようか、先に考えてしまう。

去年のクリスマスもそうだった。
自分の体験から言わせるものなのか、彼女に贈るクリスマスプレゼントは指輪!と決めている。
それも真ん中に石がついているような婚約指輪みたいな真面目なデザインのものを。

この人は僕の彼女だよ、って周りへのPRも兼ねているらしい。

この中のどのデザインが好み?とメールが来た時には、
いつの間にそうなっている?と
己の今までの行動を振り返った。
どこでどう、彼は暴走しているのか?
どこかのタイミングで指輪が欲しいと言っただろうか。

趣味の合わないプレゼントがどんどん増えていくプレッシャー。

「1度お友達からやり直しましょう。」

完成間近の積み木の家を面倒になって壊してしまったパターン。
一緒に選ぶ、というのは浮かばないのかな。
どうしてもサプライズがいいのかな。
プレゼントはある程度の金額じゃあないと男のプライドが許さないのかな。
どこかの雑誌でプレゼントの金額による関係性みたいなことを読んだのかな。
そもそも私は高い物が好き、と思われているのかしら。

友チョコです、と渡したバレンタインデーのお返しに。
またも送られてきた趣味の合わないプレゼント候補の写真。

私が一緒に選びます。
私はこういうのが欲しいのよ、お店に行くのが恥ずかしければ、私が一緒に行きます。

プレゼントのおねだりみたいで、はしたない。
ホワイトデー前日になっても全然お返事がない。
これでまた趣味の合わないプレゼントをいただいたらつっかえそう。
この人はいつも私の話を聞いてくれない人なのだ。
自己満足したいだけ。

「これ、あげる。」
身構えた。
開いてみた。
欲しいのよ、と言ったピアス風のイヤリングが箱にきちんと並んであった。

あ、かわいい。

「こんな安いのでいいの?こんなのおもちゃみたいだよ?」

おもちゃみたい?ううん。これがいいの。
1つ1500円位の安物でもいい。
私はあなたの過去の人たちとまったく違う女であること。
お互いの常識や思い込みを覆して歩み寄る。
再び積み始めた積み木の家は、前とはまったく違う家になる予感。

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